巨人打線はみなストレートに弱いらしい。長野も坂本も阿部も、みな中日投手陣が投げ込むストレートが打ち返せない。振り遅れのファールか空振り。中日投手陣が恐れもせずに投げ込むストレートに気後れしてしまっている。
それを察してか、谷繁もストレートを軸に配球。まさにストレートで巨人を攻めている。巨人の打者は中日を除く他球団の「変化球で逃げる配球」に慣れているのだろう。どこか変化球の失投を待っている節がある。それはそうだ、投手の失投は変化球のほうが圧倒的に多いのだから。
しかし、谷繁は変化球でかわそうとしない。巨人打線は谷繁の強気、気迫に気圧されているのだ。
一方、巨人の投手陣は中日のバッターにストレートを投げない。阿部のリードが悪いのか、ピッチャーのメンタルが弱いのか、ストレートを投げればブランコや和田に打たれると思い込んでいる。まさに変化球で中日打線から逃げている。
プレッシャーに弱い巨人は今に始まったことではないが、2割5分も打てないバッターや、40歳を超えたバッターに変化球で逃げまくる阿部の配球は情けなさすぎる。内海もホールトンも宮國も、ストレートで攻めるというよりは変化球で逃げている印象。中日の若手がさして速くもないストレートをグイグイ投げ込むのとは正反対だ。
巨人の弱さは阿部の配球にある。逆に、中日の強さは谷繁の配球にある。
谷繁は巨人打線を怖がっていない。むしろ、谷繁のストレートをグイグイ投げ込む強気なリードが中日投手陣のメンタルさえも強くしている。逆に、変化球主体のリート、配球の阿部の場合、その逃げの姿勢が巨人投手陣のメンタルさえも弱くしている。
ピンチの場面、巨人のピッチャーはこう思う。「ストレートを投げたら打たれる」。
ピンチの場面、中日のピッチャーはこう思う。「逃げたら谷繁さんにしかられる」。
そもそも、中日打線は和田やブランコ、平田などストレートに強いバッターが多い。逆に、巨人でストレートに強そうなバッターは坂本ぐらい。
ピッチャーにとって、ストレートを投げるのに恐怖を感じるバッターがいるといないでは大違い。中日の投手から見れば、長野や阿部、村田、高橋などにストレートを投げることは、さして恐怖感が無いのだろう。
いくらシーズンで3割を打って30本のホームランを打ったとしても、短期決戦でピッチャーが後先考えず目一杯投げ込んでくるストレートを打ち返せないのであれば、クライマックスシリーズや日本シリーズで勝てるはずがない。