ソフトバンクと巨人の日本シリーズ2020。巨人は4番岡本の成長に円熟期を迎えた坂本、丸が揃い、打撃陣ではソフトバンクに引けは取らないと思っていた。
ところが、蓋を開けてみればなんてことはない。彼らの強さは、セ・リーグという狭い世界の中だけの話であった・・・。
ソフトバンクのピッチャー、千賀、石川、ムーアの投げるストレートを巨人のバッターは前に打ち返せない。ホームラン30本を誇る岡本もストレートに振り遅れる。坂本も丸もストレートを打ち返せない。それを知ってか、千賀も石川もムーアも、勝負球にストレートを投げ込んでくる。これが同じプロの選手かと思うぐらいに力の差を感じた。
日本シリーズの惨状を機に、メディアもファンもここぞとばかりに巨人叩きを始めた。しかし、これはなにも巨人の弱さだけの話では無い。セの他の球団も、その巨人に大差を付けられて敗れているのだから。そして、それはパの他球団も同じ。ロッテ以下、全てのチームが今年のソフトバンクには14ゲーム以上もの差を開けられている。いわば、ソフトバンクだけが異次元の強さを見せている。
前々から言われ続けていることも気になる。それは、セ・リーグが変化球の野球で、パ・リーグが直球勝負の野球という点。それは巨人の菅野のピッチングがいい例。セ・リーグではトップクラスのストレートの強さを持っているにも関わらず、シーズン通して重要な局面、勝負所では変化球を選択する。千賀や石川、ムーアのように初球からストレートで押すようなピッチングはしない。それはセのピッチャー全体に言えること。ストレートを小気味よく投げ込むピッチャーはほとんどいない。
日本シリーズで巨人があのような醜態を晒した理由がまさにそれ。シーズン中から逃げるボールを追い、変化球に空振りしないよう対応しているから、いざ真っ向勝負をされると面食らう。普段から変化球にばかり対応しているからスイングにも力強さが無い。ボールを叩き潰すような力強さ、スイングスピードが無い。日本シリーズの結果は、言わば必然の結果とも言える。
巨人、そしてセ・リーグは、もはや自分の野球を変える時期に来ていると思う。世界に目を向ければ、パ・リーグだけでなく、韓国、メジャーリーグも、何れもパワーベースボールが主流。投手はよりスピードボールを求められ、打者はそれに打ち勝つ強いスイングを求められる。セ・リーグの野球はもはや時代遅れの感が否めない。自ら変革の道を選ばなければ、パ・リーグやメジャー、世界との差はますます開いていくことだろう。